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【Life Size Gallery】vol.1「かわいい」から「人生を重ねる」存在へ。ゆうこすさんと語るアートのある暮らし。

2021-10-01 10:00:00

COLUMN

時間の使い方が変わって、おうちにいる時間が増えて。「暮らしを豊かにしたい」そんな気持ちが芽生えた人も増えているであろう今日この頃。花を飾るように、音楽を聴くように、アートに触れてみる。「Life Size = 等身大の」。 Life Size Galleryは、20代の辻愛沙子がさまざまな切り口で、アートと人のリアルをめぐる対談連載です。



今回対談のお相手は、"モテクリエイター"としてSNSを中心にタレント、インフルエンサーとして活躍するゆうこすさん。スキンケアブランドの立ち上げや、ライブ配信者をサポートするライバー事務所「321」の運営など、多岐に渡る事業も手がけています。


そんな彼女のオフィスにお邪魔すると、エントランスからアートが目に飛び込んできます。ご自宅にもアートを飾られているというゆうこすさん。プライベートで辻愛沙子と交友があることもあり、和やかな対談に。アートを所有されはじめたきっかけから、暮らしにアートを取り入れる魅力を伺うと、作品ごとに異なる、熱と愛のこもったエピソードを語ってくださいました。

アートとの出会い


ーーさっそくアートに興味をもたれたきっかけからお話を伺えますか?


ゆうこすさん(以下、ゆうこす):

最初はお家を可愛くしたくて、インテリアとして買いはじめたんです。雑貨屋さんで売っているようなノーネームの絵を買っていましたね。

アートってどこで買えるのかも分からなくて、海外のサイトなどを見るようになり、少しずつ興味が湧いてきたんです。いまでは、美術館に行ったり、アートの本を買ってみたりもするようになりました。

そんな中でも、一番どんっと雷に打たれたような気持ちになったのは、愛☆まどんなさんのアートコミックス『白亜』の掲載作品です。今日はお家から持ってきました。

辻愛沙子(以下、辻):

これは本当にすごいですよね。私もアートコミックスは持っていて、ゆうこすが話す『白亜』の話が好きなんです。


ゆうこす:

いやもう、あれは狂っていて。『白亜』はアートと漫画を組み込んで、約9年間かけて描かれているんです。収益とかそんなんきっと考えてない。登場人物のアートが何枚も描かれているんです。狂気を感じます。本の側面の厚みの部分にピンクの色がついているんですけど、私には血に見えるんです。


辻:

なるほど。私は石岡瑛子展「血が、汗が、涙がデザインできるか」というコピーが好きなのですが、まさに「つくること」ってそういうことなのかもしれないですね。


私はゆうこすを見ながら、アートと重なる部分を感じていて。インターフェースは綺麗で可愛くて人を癒す存在でありながら、背景に努力や熱量、狂気、まさに「血と汗と涙」が詰まっているんですよね。表にはでないストーリーを感じる。


ゆうこす:

石岡瑛子展は私も行きました。インフルエンサーですから、まさに生き方として「血が、汗が、涙がデザインできるか」かもしれません。


最初はアートを見ても「かわいいな」「きゅるりーん」と感じるだけだったのですが、『白亜』に出会ってからは、作品を観ていると自分が試されているような気持ちになるようになりました。「作者はどれだけ狂って、どれだけ迷いながら、どれだけ血と汗と涙を流しながら、どれだけ誠実にこの絵に向き合ったんだろう」と思うんです。そして、自分の生き方を重ねて、誠実に人生を歩んでいこうという気持ちになります。


辻:

ものづくりやアートって「自分はつくれない、わからない」といった気持ちから、はじめは敷居が高く感じてしまうかもしれませんよね。でも、自分の成長によって見え方が変わったり、自分の人生に返ってくるものがあったりするものだよなぁと、ゆうこすの話を聞いて思いました。

アートを所有するということ


ーーそんな『白亜』の作品を、展示会で観たり、アートコミックスの中で楽しむのではなく、所有するにいたったのはどんな気持ちからだったのでしょうか。


ゆうこす:

あのときはもう、無意識に近い感じでしたね。気づいたら買っていたみたいな。それくらい感銘を受けたんです。私とアートとの出会いの瞬間でした。「私が持たなければならない」ぐらいの気持ちになったんです。作品から自分に似たものを感じたからかもしれませんね。


辻:

美術館や展示でアートを観るのと、自分の生活圏内にアートがあるのってまた違った感覚な気がしていて。『白亜』の作品が届いたとき、どんな気持ちでしたか?


ゆうこす:

緊張しましたよね。特に油絵ですし。タッチ一つひとつから、気持ちが伝わってきます。やっぱり家に置いていると、いまでも前を通るときにちょっと緊張するんです。「いつも元気をありがとうございます……!」とお辞儀したくなるような。「こんなに素晴らしいものを私が持っていいのか……」という気持ちにもなるんですけど、同時に「私ももっと頑張ろう」と思えます。

辻:

たしかに原画は、描いた瞬間の狂気や熱量がタッチとして目に見えるのも魅力ですよね。作家さんが孤独な環境のなかで筆をとって、長時間この絵に向き合っていたんだなと思いを馳せてしまう。「好きな作品が部屋にある」というのはもちろん、人間の温度をより強く感じられて、落ち込んだときに熱量をもらえるというのは、原画ならではですね。


私がはじめてアートを買ったのは、たしか働きはじめてすぐの会社員時代で。せきやゆりえさんの小さな、手のひらと同じくらいのサイズの作品を買ったんです。小さくても絵を買うという経験は、やっぱりドキドキしました。


まずは小さな作品でも身近に置いてみると、展示で観るのとちがったアートの魅力に気づきますよね。ちょっと緊張するけど、でもやっぱり日常にある影響って大きいと思います。


ゆうこす:

そうですね。アートって、なかなか衣食住が充実してないと手が出せない、若い子には難しいイメージがあるかもしれません。でもゆうこす的には、アートがあるからこそ衣食住が整っていく感覚があるんです。


辻:

それすごいわかる!


ゆうこす:

ね! 持ってみないと、伝わるか難しい感覚かもしれないですけど。観てたら絶対楽しいよって思いますね。

油絵の管理方法とかは、買ってからググって「日にあてないようにしましょう」……なるほど! みたいな感じでした(笑)。


辻:

いまは調べればアートの管理方法もでてきますし、意外とアートのハードルって高くない感じがしますよね。




選び方も、楽しみ方もさまざま


ーー普段オフィスに飾っているアートもゆうこすさんが選ばれたと伺いました。どんな思いで選ばれたのでしょうか?


ゆうこす:

それぞれ選んだ理由は違いますね。まずは、たまたまオフィスの絨毯の色合いと同じ作品を見つけて「オフィスに合う!」と思ったんです。

ゆうこす:

それからその作品を軸に、会社に合うものを探していきました。インテリアに合わせるというのもあったのですが、このオフィスにはテーマがあって。


私は「321」というライバー事務所もやっていて、2000人くらいが所属してくれているのですが、地方の方から海外の方、中学生から主婦、おじさんまで、多種多様な方がいます。いろんな方を受け入れたい事務所だったので、「ゆうこす色」をあまり出したくなかったんです。だから小さい丸や大きい丸を取り入れて、色もカラフルなオフィスにしました。


飾るアートもそんな思いに合うものを探していったんです。

3つ並んでいるうちの左の作品は、男性と女性の体の特徴が表現されていますよね。私の事務所は所属の方、社員さんともに、男性も女性もいるので、なんだかあっている気がして。右の作品たちも、色合いがいろんな人を表現している感じがしたんです。ゆうこす自身、丸く尖るというか、しなやかに生きたい気持ちがあって。そんなところも重なる線の描き方で、オフィスにぴったりだなと思いました。

辻:

作品の意味合いを考えるのも、そこから自身の生活を考えるのも、インテリアに合わせてみるのも……いろんな楽しみ方がありますね。出会って運命的に作品を買うこともあれば、目的から探すこともあったり。


ゆうこす:

あとは「私のために描いてもらう」もあります。

描いてもらい、飾り、挨拶にする


ーーぜひ「描いてもらった作品」のお話、聞かせてください!


ゆうこす:

Little Thunder(リトルサンダー)さんが大好きで、画集とかインタビューは全部読みました。インタビューの中で「私は眉毛が太い女の子と二重の女の子しか描かないんですよ」とお話されているのを見て、「初めまして、ゆうこすと申します。こういうもので、こういうことをしていて、ぜひ描いていただきたいです。P.S.私は眉毛が太くて、二重です。」と連絡したんです。マネージャーのアドレスでも、会社のアドレスでもなく、個人のアドレスから思いを書いてメールしました。


辻:

愛ですね。ラブレターだ。


ゆうこす:

そしたら、描いてくださるとお返事いただいたんです。日本で誰かにあてて描かれるというのは初めてだったそうです。どうしても絵の中の私にスマホを持ってほしくて。メールで少しやりとりしながら、あとはお任せで描いていただきました。

辻:

髪の柔らかさとかつやとかもみあげとか、超ゆうこす。口元の感じも。かわいい……。近くで見るとまた繊細ですごい。所有する楽しさって、これだけ近くで見れるというのもありますね。


ゆうこす:

すごいですよね。これを描いてるなんてって思う。この作品は水彩画です。

あとね、ちょっと待っててくださいね……。


(名刺を差し出しながら)「ゆうこすと申します〜!」


辻:

えっ!すごい!かわいい!

ゆうこす:

自分のことを相手に覚えてもらいたいし、同時に自分の好きなアートが広がればいいなと思って。Little Thunder(リトルサンダー)さんに連絡するときに、名刺にもしたいですってお願いしたんです。


辻:

なるほど、めちゃくちゃ素敵。アートの楽しみ方って本当に自由なんですね。


ゆうこす:

うんうん。いろんな楽しみ方でいいんですよね。私は美術館に行くとき、一人じゃなくて誰かと行くんですけど、感想を言い合うのも楽しいんですよ。「この作品がいい」とか「ここ塗ってるのかわいい」とか。「そういう見方もあるんだな」と知れてすごくいいなと思いますし、アートを通して、その人が普段話さないような考え方を知れるのも楽しいんです。アートは本当に、それぞれ自由に楽しめるものだと思います。

①スイベル・ギュレー《B0054 PASSION DROPS F4》

技法:油絵

とにかく色使い。赤から緑にぐあ〜っと広がっていく感じがとても好きです。観ていて気持ちいい。


②J.トレンツ・リャド《カネットの睡蓮》

技法:油絵

睡蓮の感じが素敵。光の反射がラメみたいですごく綺麗です。光に魅せられます。


③島倉仁《ピースフル クラウド》

技法:アクリル

雲ってすごく綺麗だなと思うんですけど、この作品の雲に一瞬でパンッと惹かれました。




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