頭の中にはいつも、現実にはない風景がいくつも存在しています。
それらはなにかのきっかけで突然、たとえば心を動かされる風景に出会った瞬間に鮮明になります。

この《星うつし》もずっと頭の中にあったそんな風景のひとつでした。
伊豆七島式根島の海岸は、昼間の時間帯であったにもかかわらず、
描きたかった夜空の風景を頭の中に鮮やかに浮かびあがらせてくれました。

天の川が空から地上へと流れ落ちる、 星の光が一筋の流れとなって天と地がひとつになる風景。
この海岸の風景がきっとあの夜を描かせてくれる、そんなワクワクするような気持ちになったことを覚えています。