写真を撮影したり、絵を描いたりした経験がある方はおわかりになるかも知れませんが、
夕陽はその鮮やかな色彩とも相まって強いインパクトがあり、
絵の中で他を圧倒する存在感があるように思います。
風景画家にとっては、その扱いが難しい題材のひとつだと感じています。

今回の作品では、誰もいない海岸で偶然目にした、
ゆっくりと沈んでいく太陽が纏っている穏やかな時間の流れ、
柔らかく包み込まれるような空気感を表現したかったので、
描き込みすぎて装飾的にならないようにしました。

夕陽の強い個性を風景全体で優しく受け止めて、
僕が感じた穏やかで柔らかな印象がぼやけないように心がけたつもりです。