ピアノには他の楽器にはない特別な存在感があると僕は思っています。

ピアノと弾き手との間には、奏でる楽曲が増えれば増えるほど、 互いをかけがいのないパートナーとして支えあった時間が長いほど、 特別な物語が紡がれていくような気がしています。

このピアノは長い間、弾き手である主と共にこの空間にありました。 そして主と共に人々の記憶に残る物語を奏でてきました。

ピアノには、主と共に喝采を浴びた輝いた時間、 共に歩み、積み重ねた時間の確かな記憶があるのかもしれません。
今、ピアノはずっと変わらないこの場所で、 幸せの記憶をたどりながら時の流れに静かにその身を任せています。

ピアノの視点に立ってこの絵を描きながら、ふっと《主を待つ》というタイトルが浮かびました。