水と舟が身近にある伝統的な暮らしが今も残っている土地です。

実際に歩いても、写真に撮ってもとても美しい風景でした。 この場所を絵にするなら、思い切ってファンタジーに振り切ったほうが 作品として成立するのではと考えました。 ですがなかなか構想がまとまらず、時間をかけてようやく完成しました。

僕が訪れた時はたまたまでしょうが、ほとんど舟はありませんでした。 でも、もしたくさんの舟があったとしても舟は描かなかったでしょう。 それよりも映り込む空や雲、人のぬくもりを感じさせる家の軒先、 水や時間の流れを描きたいと思いました。

彼女、水面に立っているんですよ。水に浮かんでいます。以前に描いた《天使のはしご》などと同じように現実にはあり得ない風景、 僕なりのファンタジーを意識して描いた作品です。